「人間は、何一つ創っていない。
大地も、海も、空も、森も、樹も、植物も、動物たちも。
それなのに、どうしてそんな身勝手なことができるのだろう?」
そう、語るのはアイノのシャーマン、アシリ・レラさん。
「人間が勝手なことばかりするから、天地は怒っている」
長年、環境活動・平和活動に従事し、アイノの人々の鎮魂の祭りである、「アイノモシリ一万年祭」を主宰してきた。
人の魂の平等を語り、報われないアイノの人々の魂を癒すべく、たくさんのアイノ人が埋められた地で、毎年お祭りを開催している。
そのお祭りは1週間も続き、その間、会場はまるでひとつの村のようになる。
飲んで、食べて、歌って、踊って、
暮らしを共にする。
そこには、国籍や人種や宗教は関係なく、
ただ、「人」として居ることができる場になる。
そんな場所に魅了された人々が、全国はもちろんのこと、世界中から一万年祭を目指してやってくる。
そして、ただまっさらな「人」となって、「生きる」ことを謳歌していく
「わたしはただ、謝って欲しいだけ。間違いを認めて、辛い想いをした人たちに、謝ってほしいから、お祭りを続けているの」
「わたしたちは、たくさんの命によって生かされていることを忘れてはいけない」
いつから人は、人の中でも、自然の中でも序列を作り、支配したりされたり、コントロールしたりされたりして、生きるようになってしまったのだろうか?
目に見える結果や物に執着し、目には見えない関係性や想いを感じることを忘れてしまったのだろうか?
自分の「生」を、まるで自分だけで成し遂げたかのように思い、自然をまるで自分のものとして扱うことに慣れてしまったのだろう?
ーもう一回、一万年前を想い出して生きるー
そんな願いも、このお祭りには含まれている。
わたしたちは、ただの「人」だ。
人同士が競争したり、いがみ合ったとしたって、同じ「人」同士であり、広く言うと「自然」である。
「忘れちゃいけないよ。私たちは、何一つ創っていない。
大地も、海も、空も、森も、樹も、植物も、動物たちも。
ただ、生かされて、生きているんだよ」
レラさんの言葉ひとつひとつが、魂を揺さぶって離さない。
アイノモシリ一万年祭。
この想いが永くつながっていきますように。